41才男性 前日の晩突然のめまいに襲われ、15時間あまり立つ視界が回り、胸が苦しい。

顔青白く、手足が棒のようである。

声は消え入るように小さく、脈は緩弦。舌紅苔白膩。喘息の素養がある。

経に曰く髄海不足則脳回転し、耳が鳴る。

また曰く、諸風卓眩皆肝に属すことから、この患者は、平素から肺気が不足しており、脾気虚弱であり、また湿が塞ぐために上まで清陽が上がらず髄海が空虚となったものである。金畏木。

治法は 健脾和胃 平肝熄風

取穴 太衝 足三里

まず足三里に針をして空虚なところに引き締まる感じがしたら、胸の感覚は良い方に向かい、めまいが軽くなった。

さらに太衝に針し、20分後めまいはなくなった。

翌日、昨日の針のあとめまいはなくなったが、精神不振がある。手足はだるく力が入らず、苔薄膩。脈細緩。

再び和胃清濁の法を施す。

足三里 豊隆

翌日、めまいはなく、体力が徐々に回復していった。

「この患者は平素から肺金が虚しており、金が木を制することができなくなり、肝風を生じた。また、脾の運気作用が低下していたために、湿を生じ、清気が昇らず髄海が空虚になったのでめまいが生じた。足三里で火痰を下降させ、胸のつかえとめまいを軽減させた。さらに、太衝で肝胆の陽邪を取り、肝気を下降させる。」