東洋医学では女性の不妊に関して「求子之道 首先調経」(子を求めるならば、まず月経を整えよ)と言われます。

本当は月経以外にも様々な症状や所見から判断するのですが、今回は月経(生理)に注目してみます。
どの症状でも鍼灸で改善する可能性は十分あります。
ご自分の体調がどれに近いか考えながら読んでいただけると幸いです。

目次

月経が不順
周期が不安定 
月経前に胸が張ったり、体のどこかに痛みが出る、高温期に特にイライラしやすい。

東洋医学でいう五臓六腑「肝」の異常かもしれません。「胞宮気滞」「肝気鬱」「疏泄失調」等と呼ばれます。
体の気の流れが悪くなり、精神的ストレスに耐えられなくなっているか、または敏感になってしまっている状態かもしれません。
体にコリが出やすく、筋肉が固くなってしまい、血流が悪くなってしまいがちです。
肩こりがあったり、寝つきが悪かったりする方が多いです。

鍼灸治療は気の流れを良くする経穴(ツボ)を使います。

疏肝理気(そかんりき)と言いますが、簡単に言うと気の流れを良くすることです。
気の流れが悪いという事は体に余計な力が入っていて筋肉が固くなった状態です。
体のコリなどがなくなって、リラックスした状態になっていただけるように施術します。

体を動かすのもいいかも

体操やエアロビクス、ヨガなど、体を動かして発散するのも良い方法です。
楽しいと思える運動をするといいでしょう。

月経が遅れがちで 月経日数が少ない(五日以内)色が薄い サラサラしている 経血の量が少ない

東洋医学の「肝血虚」にあたる状態かもしれません。
上記の「肝」にまつわる異常の一つととらえられます。

耳鳴りやめまいを持っている方もおられます。

鍼灸では肝の機能を高める施術をします。

五臓六腑の一つ「肝」これは血を作るところです。
肝を助けて血を作ります。「補血」といって、血を補う治療になります。
(東洋医学で言う肝と血は近代医学で言うそれとは違います)

血を補う食べ物を

緑黄色野菜やレバーなどを適度に取りましょう。

月経が遅れがち または 月経後にどっと疲れる 月経の量が少ない

体が弱っているのかも
東洋医学では「腎虚」という考え方があります。体の生命力をつかさどるとされる「腎」の衰えを指す言葉です。
「腎」は東洋医学では出生にも大きくかかわる部分とされ、不妊治療の軸となる要素の一つです。
「腎虚」は体質が虚弱な方に多く見られますが不妊治療に来られる多くの方に大なり小なり見られる物です。

腰がだるいなどの症状が出やすいです。

「補腎」(ほじん)体を元気にする鍼灸で体の活力を補いましょう

体の活力そのものである腎が弱れば全体的に虚弱になります。
体を強くする生命力を補う鍼灸治療が必要です。
特にお灸が良いです。

ご自宅でもお灸しましょう

熱くない「棒灸」をお腹にするといいでしょう。
関元というツボに毎日お灸してみてください。
棒灸のやり方や関元の場所はこちらで解説しています。
女性の不妊症に対する自宅でできる棒灸のやり方

月経日数が長い、ダラダラと長引く感じ。高温期が短い。 色が薄くサラサラ。

「脾気虚」 「胞宮気虚」 「腎陽虚」 「胞宮陽虚」
消化器系が弱くエネルギーがうまく作れない人。むくみやすく疲れやすい、冷え性の方に多いものです。
また、「腎」が弱くなっていても出てくる症状ですので、最初の「腎虚」からこちらに移行する場合もあります。

上記の腎虚の施術に加えて消化器系の経穴、体を温める経穴が必要

腎は体を温める力と冷やして熱を制御する力を両方持っています。
この腎の体を温める力が少なくなったのが腎陽虚です。脾気虚は消化器系の機能低下です。

こちらもお灸

上記の腎虚同様、お灸が必要です。
また、お灸以外にも徹底的に体を温める必要があります。

低温気が短い 月経周期が短い 経血の色が少し青みがかっているか、紫がかっている。ドロドロ、ネバネバしている気がする。経血量が少ない。

「腎陰虚」 「胞宮陰虚」
これも「腎虚」も派生形で、消耗、過労、もともとの体質虚弱などが原因と考えられています。

腎の陰を補う鍼治療

上記の腎陽虚は腎の陽、体を温める力の低下ですが、この腎陰虚は腎の陰、体の余計な熱を冷やして制御する力です。
陽は火、陰は水のようなものと考えていただくといいかもしれません。

過労に気を付ける。夜は早く寝る

とにかく過労に気を付けましょう。
夜は陰の補充に適した時間。
夜早く寝ることで腎の陰を蓄えましょう。

経血に血塊がよくまじる 経血の色が紫がかっていて ドロドロしている 月経期が長い(一週間以上)

「胞宮血オ」
東洋医学では血液的な老廃物を「オ血」「古血」と呼びます。
気の流れと血の流れを別物として捉えるのですが、気が血を運ぶので、気の流れが悪くなってしばらくすると血の流れも次第に悪くなってきます。
そしてオ血が溜まってきます。肌がかさついたり、体に痛みがあったり、子宮内膜症の方にも多いものです。
この「オ血」「胞宮血オ」も「腎虚」と同じくかなりの人に見られます。

血をキレイにリフレッシュ、「活血」

鍼灸はオ血をとるのも得意です。
時には吸い玉なども組み合わせてデトックスします。

どんどん運動しましょう。

運動して血液をどんどん循環させましょう。
オ血は二次的なもの。気が血を流します。
気の流れを良くするためにも体を動かしましょう。

上記のどれも例にすぎません。

上記のどれかにバッチリ当てはまり、他の欄の項目には一つも当てはまらない。
という人は少ないでしょう。
実際にはこれらが複合的に存在し、各人の「証」(東洋医学の病名のようなもの)が決まります。
鍼灸ではその証の加減や重要度を鑑みて、治療法をその都度組み合わせ調整していきます。

どのタイプでもお灸はした方が良い

棒灸という熱くないお灸があります。
Amazonさんで揃うのでやってみてください
棒灸のやり方はこちらで解説しています。
女性の不妊症に対する自宅でできる棒灸のやり方