菜虫蝶と化す
蛹となってじっと耐えていた虫が蝶になって羽ばたく季節です。春の兆候もいろいろ出てきて、やっと春という感じがしてきましたね。
今日は鍼灸と精神について。
五神というものがあります。
五臓にあって、精神思惟活動を司る気の事です。
魂・神・意・魄・志(精)
肝は血を蔵し、血は魂を舎(やど)す
心は脈を蔵し、脈は神を舎す
脾は営を蔵し、営は意を舎す
肺は気を蔵し、気は魄を舎す
腎は精を蔵し、精は志を舎す
と、あります。
表にまとめると
肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 |
魂 | 神 | 意 | 魄 | 志(精) |
こうなります。魂魄とか精神とか意志とかは今でも普通に使われる言葉ですね。(魂魄は使わないかな?)
魂
神にしたがいて往来するもの、これを魂という。
精神活動は五臓の精気を基礎にして、肝血と魂は密接に関わっています。
肝に異常があり、うわごとや妄想を言うのはこれと関係があるのかもしれません。
神は生命そのものの意味もあり、精神意識活動を司ります。
意は単純な記憶や思考を含んで脾に属します。脾虚で記憶力の減退するものは意の働きに影響していると考えています。
魄 精に並びて出入りするものといわれ、先天的に備わっている本能的な感覚や動作に関わる、いわば肉体を動かす精神活動です。
(人が亡くなると、魂魄が別れます。魂はすぐ上に上がっていき天に帰る陽の気です。
魄はしばらくその場にとどまります。しばらくの後、地に染み込むようにして消えていくそうです。)
志 記憶力、あるいは今で言う意志。先ほどの物忘れと違って老化などによる記憶力の低下は精、志と関係しています。
(参考 鍼灸医学大辞典)
このように東洋医学では古くから精神思惟活動は五臓に基づくと考えられていたのです。今でも東洋医学で人間を考えるときはこうあるべきです。
余談ですが、心臓移植を受けた方が前の心臓の持ち主の影響を受けるという話を聞いたことがありませんか?
食べ物の好みが変わったり性格が変わったり新たな特技に目覚めたり。
「これは心は神を舎す」
ということに関係があるのではないかと思っています。脳以外の臓器に精神や記憶が残るなどということは今の科学では荒唐無稽のようかもしれませんが、科学だって何でもかんでも解明できているわけではないのです。精神的なストレスから体を壊すという東洋医学の古くからの考え方も、わずか一世紀たらずの昔は無稽と言われていたのです。今では常識ですが。
この五臓(現代の内臓にも)に精神活動に関わる何かがあると科学で証明される時が来たりするかもしれません。2014-03-14
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