東洋医学はとても曖昧なところがあります。その曖昧さが嫌になって嫌いになってしまう仲間たちもいます。

鍼灸師で東洋医学を毛嫌いする人の多くは一度は勉強しようと試み、割と早い段階でアレルギー的に嫌悪感を抱いてしまった人たちです。

現代医学を勉強した後に東洋医学を勉強しようとした人にも多いかもしれませんね。

科学では曖昧さを嫌いますから無理のないことです。

経絡治療と中医学の違いを理解しないままいろんな教員の講義を聞いてしまうために混乱するのも原因の一つだとは思いますが(目の前の教員や先輩が経絡治療の立場で話しているのか中医学で話しているのかを理解しておくことは非常に重要です。たとえ同じセリフでも用語の意味や論理が全然違います。)、やはりこの曖昧さが嫌われるのではないかなと思います。

例えば「五行」人体はもとよりこの世の全ては五つに分けられるとする理論です。とっても奥深い理論なのですがこれだけ聞くといい加減な印象すらあります。もちろん曖昧な部分なんて山と出てきます。

科学で人間の体を解明し、治療しようとする現代医学とは全然違いますね。

ですが本来人間なんて曖昧なもので、特に我々が扱う症状や疾患なんて原因不明の曖昧なものばかりです。

病院で最新機器を用い、その道のエキスパートであり最高権威である専門医に診てもらっても原因がはっきりしない曖昧なものです。

ましてや人間には心というとっても曖昧な要素があります。

曖昧なものは曖昧なもので見たほうがいい場合があります。東洋医学の曖昧さには曖昧な体の曖昧で複雑な変化に対応できる柔軟性があります。

現代的な考え方にもカオス理論というものがあります。複雑な事象を予想したりコントロールを試みるときにあえて大雑把に分類してしまうことで対応しようとする理論です。これは五行論と似たところがあります。

患者さんの症状と心と体を真剣に見つめているとその複雑さに圧倒されます。ですが東洋医学の曖昧さが、人という複雑な問題の答えをくれることに驚きます。

東洋の古代の聖人の教えは今でもその有用性を失わないばかりか、科学の発達する現代においてもなお輝きを増すばかりです。

鍼灸学校に在学中で東洋医学に不信感のある方はまず助手のアルバイトなどの時、患者さんをよく観察してください。たくさんの患者さんに触れてからもう一度 東洋医学を見直してみてください。

東洋医学はああ見えて結構役に立つものです。