自律神経失調症は様々な愁訴があらわれます。
自律神経失調症のタイプなどにもよりますが、西洋近代医学的な説明は他ページに譲ります。
現代鍼灸(科学的に鍼灸を解明し使っていく学問)の観点からもいくつかの経穴(ツボ)には自律神経の調整作用があると言われています。
東洋医学(中国伝統医学)では様々な自律神経症状を独特の見方で治療してきました。
便秘、下痢、不安、不眠、肩こり、頭痛、目の疲れ、腰痛、手足の冷え、顔の火照り、腹痛、めまい、耳鳴り、吐き気。。。。等等
多岐にわたる症状を呈するものですから、いちいちその症状ごとにツボを選んでいたらキリがありません。
そこで五臓や経絡、陰陽五行という考え方が役に立つのです。
その人の本質を見つめて鍼灸を行います。
例えば、
気血両虚
疲れやすく、冷え性、下痢、むくみ、食欲がないときがある、不眠などお症状が起こりやすい虚弱な状態。
肝欝気滞
イライラ、抑うつ、寝つきが悪い、肩こり、便秘、目が疲れる、手足が冷たいなどの症状が起こりやすい。
脾虚湿盛
むくみがあり、体が重い、肩こり、食欲がない、または脂っこいものや味の濃いものを多く食べる。湿気があると症状が悪化する。
簡単に三つ挙げましたが、これらは一例に過ぎません。
実際にはこれらが複雑に絡み合っています。
その状態に合わせてその都度経穴(ツボ)の組み合わせを決めなければいけません。
多くの場合、鍼だけでなくお灸を組み合わせる事が非常に効果的です。
当院では自律神経症状をお持ちの患者さんには鍼と熱くないお灸を組み合わせて同時に使います。
体の背面を背骨に沿って流れる督脈という経絡に縦にお灸を並べ、しばらく安静にしながらじっくりお灸が効いてくるのを待ちます。督脈にお灸を並べることで気がよく通り、自律神経のバランスを調整しやすくなります。ほかの鍼の効果を高めてくれる役目をします。
以下に自律神経失調症の治療の一例を上げておきます。
治療一例
38歳 女性 池田市 主婦
肩こりがひどく、頭痛がし、眠れない。ひどい時はご飯が食べられない。精神的ストレスで悪化する。
数件の病院で見てもらったが、「内蔵には異常がない」「自律神経失調症」などと言われた。心療内科の受診も勧められたが薬を飲むことに抵抗があり、当鍼灸院を受診した。
これは五臓の肝(現代の肝臓とは違います。気の流れをよくする五臓で、目にも関係します。この方は目の疲れもひどいようでした)の働きが弱り、気の流れを良くすることができなくなったので、肩こりや不眠症状が出ている(肝欝気滞)ものであり、ひどい時食べられないのは、肝が脾と協調して働くことができない状態で(肝脾不和)頭痛がするのは肝の経絡が頭に走るからです。
足の厥陰肝経のツボを用いて肝の働きを助け、脾と胃のツボで脾と肝の協調を助けます。
手のツボで肩に通じる経絡を通し肩こりをとります。
うつ伏せで肩と背中にある五臓の状態を反映しやすい兪穴を反応を見ながら加えていきます。
鍼を刺したまましばらく置き、同時にお灸をします。
この患者様は実際にいらした方です。(個人情報保護のため内容は少し変えてあります。インターネット掲載許可済み。)
一度目で肩こりが軽くなり、食欲がわきました。
三回目でほぼ症状は気にならなくなりました。寝付きもよくなり、頭痛がすることもなくなったそうです。
このように当鍼灸院は自律神経失調症への鍼灸に力を入れております。
自律神経失調症でお悩みの方、ぜひ一度当鍼灸院へご相談ください。