鍼灸治療継続中のキミコさん
はい、脈を確認してから鍼をしていきますね
おねがいしま~す! そういえば病院でもお医者さんに脈を触られたことがあったけど、片方だけだった。両方の手を触るのには何か意味があるの?
大アリです 東洋医学の脈診は両方の脈のいろんな違いを丁寧にみているんですよ~
へ~ どんなところを見ているの?
そうですね、手首でみる東洋医学の脈診は、「脈差診」「脈状診」とあります。 脈差診は、手首の脈を六ヶ所にわけてその強さの差等をみます。首や足の脈と比べるやり方もあります。
だから両方の手の脈をとるのね。でも左右はほかの部分ならともかく、片手の三箇所ってすごい近いし一本の動脈よね?これって差が出るものなの?
う~ん、そうですね~ この脈差診は「六部定位脈診」とも言われます。
けど、注意して触っていると、確かに違いが感じられることもあります。意外に深い意味があるかもしれませんよ。
私は次に説明する「脈状診」をメインにしてますけど、脈差診を極めてる先生もいますよ。
ふう~ん。不思議ね。
脈状診は早さや手触りの違い、その形状の違いなどをみます。
手触り?形状?そんなに違いがあるの?
はい!結構違うものですよ~。脈の圧力や振幅、血管の太さとか、血流の流れ方は体調によってけっこう違うんです。 代表的な脈状は28種類、その他の脈状もあわせると40種類以上もあるんです。
よ。。。。40。。。。
例えば、キミコさんの脈は弦脈(げんみゃく)ですね、硬い弦楽器の弦みたいです。
これは、全体的に緊張が強く、リラックスできていない状態に出る脈です。最近精神的なストレスや、イライラを感じやすかったりしませんか?
そうなの!最近イライラして寝つけないことがあって。。。うっ・・・自分で触ってみても硬いような気がする・・・
脈診のメカニズム
手首の動脈のどこにそんなに沢山の情報が隠されているんでしょうか。 「本当にそんなの意味あるの?」 とお考えのそこのあなた! 一緒に考えてみましょう
まず、動脈には血管の平滑筋という筋肉がついていること、自律神経の調節で平滑筋が働き、太さが変わる事、心臓から拍出される血液量や、コレステロール、活性酸素などによる血管の柔軟性の変化など、あらゆる面から脈診を考えると、脈診の意義が見えてきます。
まず、キミコさんの弦脈はなぜあらわれたのでしょうか? キミコさんは日頃から職場で相性の悪い上司からのプレッシャーで精神的なストレスを感じています。 焦りや苛立ちから、自律神経が交感神経優位となり、リラックスできない状態です。体はストレスに対応するためにいつでも戦えるように緊張しています。そのため血管の平滑筋が緊張し、ギターの弦のような硬い脈があらわれたのです。
この状態を気滞といいます。気の流れが悪くなっているので、気の流れをよくする(ストレス状態の改善)鍼灸をします。
他にも 動脈が太く感じられる事があります。これは 血液量が多いなら少し圧迫しても強く脈圧を感じます。この場合 大脈です でも、少し圧迫するとスーッと手応えがなくなる脈もあります。 「こう脈」です。
草かんむりに穴を意味する孔 ちょうどネギみたいな状態です。ネギは中身がなく空洞なので、ちょっと押さえると見た目以上に手応えがありません、こう脈は血液量が多くもないのに、血管が膨張している状態、つまり、血管平滑筋の過度の弛緩が考えられます。副交感神経が優位で交感神経がうまく働かず、やる気がでない、昼間でも眠い、だるい、などの症状があるかもしれません。 他にも 濡脈(なんみゃく)
等等、手首の動脈も体の状態によって少しずつ変化があるのが、イメージしていただけましたでしょうか? 東洋医学ではこうした体の微妙なサインを逃さないように診察するんです。
名人たちはこうやった!脈診エピソード
大昔の名人は脈を触っただけで、もっといろんなことを言い当ててしまったそうですよ。
え~?脈を触っただけで?例えばどんな?
じゃあ置鍼(ちしん:刺した鍼を抜かずにしばらくそのままにすること)しながら、一緒に見ていきましょう!
この人は?
張介賓(チョウカイヒン)さんです。
これは大変そうね!意識もないみたいだし、きっと重症なのね!
脈診したようですね!
ホントに名医なの!?
ありゃ?
この女性は男性にやきもちを焼いていて、困らせようとして死んだふりをしていたらしいんです。 脈診で仮病だとわかった張さんのドッキリだったんですね。
400年前のドッキリ、どうでしたか?
よくこんな話が400年も語り継がれてるわね。。。
ほかにも、こんなエピソードがありますよ!
郭玉さんです。
これは何をしているところなの?
布の向こうの人の脈診をしてどこが悪いのか当てようとしているところです。
王様が見てますね!
めっちゃ見てるわね。。。
実はこれ、こうなっています。
あ~!意地悪だぁ!!
ええ~!?私だったら、全然わからないよ?!これ気づかなかったらどうなるの?
。。。最悪殺されてしまうかもしれませんね。。。。
そうなの!?
おお~!
やりましたね!
事実、郭玉さんは高貴な人より平民の治療の方がうまくいくことが多かったそうです。 高貴な人に平民のフリをさせて治療を受けさせるとよく効いたとか。 高貴な人がホントに苦手だったのかもしれませんね
名人も大変なんだねぇ。。。
迷惑だなーーこの人
他にも妊婦さんのお腹の中の子供が双子の男女だと言い当てたり
人の死期を言い当てたり、飲んでいる漢方薬を当てたり。
これは昭和、大先輩の直接目撃談
などいろんな話が残っています 脈だけでこんなにいろんなことが分かるのは驚きですよね。
すごいね!でもゴキブリの漢方薬なんてあるんだね、どっちに驚いていいかわからない。。。
もう村ごと助けちゃう!
曲直瀬道三
名人の脈診はよほどインパクトがあったのか、こんな伝説に発展することもあります。 曲直瀬道三という人がある漁村の住民を脈診すると死脈(死期が近い)だったそうです。
そんな脈があるんだ。
ええ、しかもその人の家族全員、そればかりか漁村のみーんなに死脈が出ているではありませんか!
え!?疫病かな。。。?
おかしなこと言いだした?!
果たして高台に上るとみんなの死脈は消え、漁村は津波にあいましたとさ。
え!?えええええ?!
東洋医学の枠を超えたスーパープレイですね!
超えすぎでしょっ!!
まあこれは名医への憧れが、いろんな話に尾ひれをつけたのかもしれませんね!
ロマンです!!
脈診で天変地異を予見!?
普通の脈診ではちょっとありえません。
この曲直瀬道三は当時でも有名な名医でした。その名声の高さから生まれた作り話だと考えるのが普通です。
でも、ここでちょっとロマンに浸ってみましょう。 東洋医学では、人間の体も世界の一部であり、世界の変化とともに人間の体も変化するという考え方を持っています。 今回の脈を例に取れば、冬の川が一見枯れたように見えても実は地底を流れています。 脈も冬は沈脈といって深いところを流れます。 春になって雪や氷が溶け川の水が浮き上がるように流れ出すと人間の脈もまた同じように浅いところに上がってきます。
このように東洋医学は自然界の変化と人間の体の変化が連動していると考えます。 大昔の書物には、自分の脈を触ることで、自分が今安全なところにいるか知る事ができるとする物もあります。 地震や津波などの天変地異が起こる直前にネズミなどの動物が特異な行動をとるなんて話を聞いたことがありませんか? 動物には本来そういった危険を、肌で感じるというような本能が備わっているのかもしれません。 人間の体も、もしかしたらそういったかすかな異変を感じ取り微妙な変化を起こしていて、 曲直瀬道三は脈診でそれを感じとったのかも。。。 そう考えると夢がふくらんじゃいますね。 私もいつかは。。。なんて
名医孫悟空
ロマンついでにもう一つ!
西遊記の孫悟空が、変わった方法で脈診するシーンがあるんです! ある国に三蔵法師の一行が立ち寄ったときのこと、 王様が病気だが、あらゆる名医に診てもらっても治らない。 誰か治せる者はいないかとの張り紙を見つけました。 孫悟空は張り紙を持って王宮に出向くのですが、見た目と態度がアレ過ぎて王宮には入れてもらえません。。。
いや。。まあ。。うん。。。
そこで孫悟空は、糸を王様の手首に巻きつけてもらい、王宮の外から糸越しに脈診します。
遠っ!!!
縣糸診脈(けんししんみゃく)というそうです。面白いですね!
まわりくどいな~
はい、じゃあキミコさんの脈を確認してみますね。ほら、さっきより柔らかくなってますよ~自分で触ってみてください
ほんとだ~!私にもわかる~!
大阪の鍼灸院なら
大阪のお父さんとお母さんにも教えてあげよ
どうせなら脈診もしてくれる鍼灸院が良いわよね~
池田市なら・・・
おっ?!ここは良さそうかも・・・
大阪池田市の鍼灸南天
大阪・兵庫で不妊治療を受けるなら鍼灸南天
“そんなことまで分かっちゃう?!東洋医学の脈診!メカニズムから名医の逸話まで!” への1件のフィードバック