五十肩や四十肩は俗称で、肩関節周囲炎とも言います。
東洋医学では(漏肩風)ロウケンフウとも言います。
肩に痛さやだるさなどがあらわれ、腕が上がらないなどの症状になります。
40歳から50歳前後の人に多いので五十肩と言われます。
今のところ原因ははっきりせず、現代医学的には治療法も確立されていません。
肩の関節には回旋筋腱板といって、肩の周りの筋肉が腱となって付着しており、また、関節自体が動きにとむ関節であるがために関節の動きによって内部の構造が壊されやすい特徴があります。
腱などの内部構造が硬くなっている状態で繰り返し衝撃が伝わり、その腱や、クッションの役割である関節包に損傷が起こり炎症し、症状が起こると考えられます。
東洋医学的には多くは、疲労が重なり弱った状態の肩に冷えなどが入り、症状が現れるというふうに考えます。
東洋医学(中医学)では自然界の六つの気(風・暑・火・湿・燥・寒)が過剰であったり急激に変動したりすると、弱っているところがその気を受け痛むという考え方があります。
五十肩で多いのは 風 寒 湿です。
風や冷えがきっかけであることが多く、湿気も東洋医学では重要視します。(東洋医学での湿気「湿」は我々現代人が考える湿気とは少し違います)
大雑把にそれぞれに出やすい症状をわけると。。。
風の傾向
肩の痛みの範囲が広い しびれと引きつりが走るようだ
痛む場所が今ひとつ一定ではない(移動する)
背中や首の後ろに寒気があり、その後悪くなった。
寒の傾向
痛みの位置が固定している
激しい痛み
冷やすと悪化し、温めると緩解する。
湿の傾向
重だるい痛み
痛む場所は一定でぼんやりと広い範囲
腫れやむくみがある。
非常に大雑把にまとめてみました。痛みの位置が固定しているという項目以外は、一つでも当てはまるとその傾向があるかもしれません。これはそれぞれの気が経絡に侵襲した場合です。
また、二つ以上の気が同時に入っている場合もありますので、当てはまるものが多い人もいます。
東洋医学ではこれはひとつの目安やヒントとしてさらに色々な情報を集めていきます。
鍼灸は実際にどうするかというと、当院では原因を見つめながら最適な場所を選んでいきます。
肩はもちろんですが、腰や足にも鍼灸をする場合があります。
東洋医学では体は経絡でつながっており、離れた部位からの鍼灸刺激も有効であると考えられるからです。
五十肩だと有名なのが「条口」です
足のすねにあるツボです。ここだけで挙がらなかった肩が挙がるようになることも多々あります。不思議ですね。
個人的には条口の隣の豊隆もよく使います。
肩だけに鍼をして効果がなかった場合は肩以外の部分の経穴を必ず試します。
最近では鍼灸をやっているところも増えたので、鍼灸を試してみる患者さんは多いようですが
「五十肩で他の鍼灸院に通ったけれどあまり効かなかった。鍼灸は五十肩には効かないのか?」
と言われることがよくあります。
ですがどういった鍼灸を受けられましたか?と聞くと大抵「肩だけに鍼をした」「痛くも痒くもなんともなかった」「鍼に電気を流した」
といった答えのどれかが返ってきます。
当院では無痛、無感覚の鍼も電気鍼も可能であり、使うこともありますが、五十肩には鍼の響きがある程度必要なことが多いと感じます。
多くの場合、電気鍼は必要ありません。
鍼灸と一言に言っても鍼灸師によって実に様々な手法があります。
ほかの鍼灸院で効かなかった五十肩も当院の鍼灸を是非お試しください。