オイゲン・ヘリゲル著「弓と禅」 という本を読みました。

外国人であり、哲学者である著者が弓道を通して日本武道の精神に近づく名著です。

矢は射手が打つのではない。放れを待ちなさい。このような言葉が印象的でした。

鍼灸をしていてもあれこれ考えながらツボを探っていたり、一回で効果を出して良いカッコしょうとしているような時よりも、手が勝手に動くような時に思いがけない良い結果を生むことがあります。

煩悩を捨て、無駄な想念にとらわれない鍼灸を心がけたいものです。

関係があるのかどうかわかりませんが、先日、湧泉に直接灸を据えた患者さんがこう言われました。

「前回の場所より前々回の場所のお灸の方が効きました。」

どちらも湧泉のつもりだったのですが、全然違う場所に感じたというのです。

湧泉を触りつつ、「ここでしょう?」

というと、前回はそこで前々回はもっと下だったというのです。

まさか湧泉の場所を間違うなんてなあ・・・と自分にがっかりしないでもありませんが、確かにそこにはなにか惹きつけられるような反応を感じます。

こっちの方が効いたということでもあるし、その時はそこが湧泉に感じたのでしょう。

鍼灸の奥深さと自分の未熟さを痛感した夜でした。